気候変動対応
基本的な考え方
日東紡グループは、地球規模の課題となっている温室効果ガスの削減に向け、省エネ活動の推進、再生可能エネルギーの利用拡大などに努めます。また、社会全体の脱炭素化に貢献するために、環境配慮型製品を通じたCO2排出量の削減とサプライチェーンからのCO2 排出量の削減に取り組んでいきます。
TCFDへの取り組み
日東紡グループは、2022年5月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)による提言への賛同を表明しました。同提言に沿って、気候変動に関する情報開示を推進していきます。
ガバナンス
当社グループの気候変動問題への取り組みを推進する機関として、2021年4月に取締役代表執行役社長を委員長とするサステナビリティ推進委員会を設置しました。同委員会を四半期ごとに開催し、気候変動問題に関する情報の集約、リスクの想定、対応策の立案、社内教育・啓発の計画、およびこれらの進捗管理を行っています。討議・決定された重要な事項については、取締役会に報告され、活発な議論が展開されています。
戦略(機会とリスク)
当社グループ全事業における気候変動への影響について、2030年を想定し、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)や IEA(国際エネルギー機関)などの専門機関が描くシナリオを参考に、分析しました。
気候変動がもたらすリスクは、低炭素社会への移行に伴うリスク(移行リスク)と物理的な影響(物理的リスク)に分けられます。地球の平均気温上昇が産業革命前と比べて1.5°C以下及び4°Cとなるシナリオを想定し、それぞれの機会とリスクについて影響度が高いと思われる項目を抽出しました。今後も引き続き外部環境の変化に応じて適宜見直しを行い、行動計画に反映させていきます。
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社会の変化1.5℃シナリオ
[ 政策・法規制 ] ・再生可能エネルギーの普及拡大
・炭素税の導入
・環境関連規制の強化[ 技 術 ] ・新エネルギーへの転換
・高速大容量通信の普及拡大
・自動車EV化[ 市 場 ] ・脱炭素、循環型社会への移行 [ 評 判 ] ・顧客、投資家からの環境対応の
要求増加4℃シナリオ・更なる気温の上昇
・災害の激甚化 -
機会
・市場の拡大(EV、通信、再エネ関連等)
・既存商品の機会増(断熱・遮熱等)
・環境配慮型商品の需要増・断熱・遮熱・国土強靭化関連商品の販売増
リスク・コスト増(エネルギー、税、原料・設備等)
・法規制強化による販売制限
・代替技術・商品による販売減・調達、操業リスク、復旧費用増
当社の対応・省エネ推進、プロセス革新、新技術導入
・環境配慮型商品、原材料の開発
・リサイクル推進・BCP、サプライチェーンの強化
シナリオ分析(詳細)
リスク 分類 |
社会の変化 | 主要な機会 | 主要なリスク | 当社の対応 | |
---|---|---|---|---|---|
移 行 |
政 策 ・ 法 規 制 |
再生可能エネルギーの |
再エネ関連事業向け |
環境配慮型商品の開発推進 |
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エネルギー調達コスト増 |
省エネ、プロセス改善等によるエネルギー効率向上 |
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炭素税の導入 |
環境配慮型商品の需要増 高断熱・遮熱商品等既存商品の需要増 |
環境配慮型商品の開発推進 断熱材、ロールスクリーン、SSG等の拡販・新商品開発 |
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炭素税負担による |
省エネ、プロセス改善等によるエネルギー効率向上 |
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環境関連法規制の強化 |
環境配慮型商品の需要増 |
法規制強化による使用制限 |
環境配慮型商品の開発推進 |
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環境配慮型原材料への置換 |
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技 術 |
低炭素・脱炭素技術の普及 |
新技術活用によるCO₂排出削減及び生産効率の向上 |
設備投資によるコスト増 |
低炭素・脱炭素技術の開発推進 |
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高速大容量通信の普及拡大 |
CO₂排出削減商品の需要増 |
代替品による競争激化、シェア減 |
低誘電ガラスクロスの高付加価値化 新技術・新商品の開発推進 |
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自動車のEV化、低燃費化の加速 |
EV関連・軽量化商品の需要増 |
自動車向けグラスファイバーの高付加価値化 新技術・新商品の開発推進 |
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市 場 |
低炭素・脱炭素社会 循環型社会への移行 |
環境配慮型商品の需要増 高断熱・遮熱商品等既存商品の需要増 |
低炭素・脱炭素対応によるコスト増 |
生体溶解性グラスファイバー商品の開発 |
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断熱材、ロールスクリーン、SSG等の拡販・新商品開発 |
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リサイクル推進によるコスト増 |
リサイクル糸の活用、生分解性繊維商品の開発 |
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リサイクル推進による廃棄物削減 原材料コストの削減 |
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評 判 |
顧客・投資家からの |
環境対応に貢献する事業拡大及び投資家からの評価向上 |
環境対応要請による |
環境配慮型商品の開発推進 CO₂排出削減、リサイクル等の環境対応推進 |
リスク 分類 |
社会の変化 | 主要な機会 | 主要なリスク | 当社の対応 | |
---|---|---|---|---|---|
物 理 的 |
急 性 |
気温上昇による気候災害の激甚化(サイクロン、洪水等) |
断熱・遮熱・国土強靭化関連商品の需要増 |
製造拠点の操業維持困難化・災害復旧費用の増加 |
BCP、サプライチェーンの強化、耐熱・遮熱・国土強靭化 |
気温上昇による既存疾病の拡大、新たな疾病の流行 |
体外診断薬の需要増 |
既存商品の高付加価値化 新商品の開発 |
|||
慢 性 |
災害の激甚化 |
断熱・遮熱・国土強靭化関連商品の需要増 |
原料調達、工場操業等への影響 |
BCP、サプライチェーンの強化 |
リスク管理
当社グループは、サステナビリティ推進委員会とリスクマネジメント委員会においてCO2排出量削減の計画立案、進捗管理をグループ横断的に行っています。
当社グループの事業が気候変動によって受ける影響を識別・評価するため、気候変動の機会とリスクを抽出・分析し、必要に応じてサステナビリティ推進委員会や取締役会において適切に対応します。
指標と目標
当社グループは企業活動を通じて重点的に取り組む社会課題であるマテリアリティとして「環境・エネルギーに貢献する製品・サービスの提供」「気候変動と資源循環型社会への適応」を掲げており、生産性の向上、省エネ活動の推進、リサイクルによるエネルギー効率利用や太陽光発電の活用などを通じて気候変動への負荷を軽減し、地球温暖化防止に取り組んでいます。2050年度カーボンニュートラル達成のため、あらゆる方策を講じ、サプライチェーンを通じた社会全体の脱炭素化に貢献する取り組みを進めています。
CO2 排出量削減に向けた取り組み
日東紡グループの2030年にありたい姿『Big VISION 2030』及び中期経営計画(2021-2023年度)策定時に、CO2排出削減目標として、総量8%削減(2013年度比)を掲げましたが、その後に開催されたCOP26や、日本政府の2030年度の新たな削減目標を踏まえ、日東紡グループは、サステナビリティ推進委員会での議論の下、CO2排出量30%削減(2013年度比)へ目標の引き上げを決定しました。併せて、2050年度にカーボンニュートラル達成の目標も新たに設定し、サプライチェーンを 通じた社会全体の脱炭素化に貢献するための取り組みを進めています。
パラマウント硝子工業(株)長沼工場の太陽光発電システム