謎を解くのが好きだから、
1年365日の考察も
苦ではありません
山下 隼
総合研究所
体外診断薬 研究開発担当
2011年入社
生物資源環境科学府
十分な調査、度重なる試作を経て、誰も手掛けていない新しいアイデアが実現する
研究開発部で、主に病院などで使われる体外診断薬の新しい測定法を開発しています。新しい測定法によって検査の精度を上げることが目的です。具体的な開発の流れは、まずアイデアを考え出すことから始め、次はそのアイデアが他に使われていないか、特許が絡んでいないかといったことを文献やインターネット、問い合わせなどによって十分に調査します。誰もやっていないことを確認して初めて開発のスタート地点です。そこから新しい開発に必要な材料を十分に検討し調達し、何度も実験や試作を繰り返し、完成に近づいたら、今度は測定装置にかけてデータを取り、さらに改良して試作品が出来上がります。もちろんこれで終わりではなく、製品の性能の保持やコスト削減のための検討という試行錯誤を繰り返します。
アイデアの閃きを商品につなげるには ――
研究の積み重ねを支える「社会との距離の近さ」
実際、アイデアは意外な瞬間に閃くことがあります。また、「完成した!」と実感することが早くに訪れる事もあります。ところが、性能を安定させることは簡単ではありません。病院で実際に使われている測定装置のメーカーは数社あり、そのいずれの測定装置にかけても、結果にズレが生じないような高品質が必要なのです。新しい知識の取得や柔軟な考察が必要なことはもちろん、それにも増して地道な作業の積み重ねが必要になります。時間的制約もあり、プレッシャーを感じることもありますが、ただ、今は自分たちの開発が社会に直結しているという実感があります。社会との距離の近さ--それが研究の大きな励みになっているのは確かです。
夢は今までになかったような新しい検査薬 ――
難病の芽を見つけて、予防医学に貢献したい
将来的には、これまでにない画期的な体外診断薬を作るのが目標です。家庭で手軽にできるような体外診断薬やペットなど動物用の検査薬という考えも面白いですね。ただ、最も強い関心があるのは、病気の『芽』のようなものを見つけ出す検査薬です。病気に関する新たな物質を発見し、その検出方法を発見することで、予防医学に貢献できたらと思います。オンオフの切り替えが大事という話もよく聞きますが、私の場合は仕事の後も休日も、四六時中あれこれ考察していて研究が頭から離れなくなることも。ただ昔から不思議なこと、分からないことを解くことが好きでした。難問が解決する度に喜びがあり、しかも研究が社会の役に立つのですから--仕事をとことん楽しめる私がここにいます。